とにかく気まぐれに書きたいことを書くブログ。
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さて、今日はOVA「スカルマン」のレビュー。かの石ノ森章太郎さんの原作を、大幅アレンジしてアニメ化したものです。そもそも「仮面ライダー」の原型となった作品でもあり、アレンジにあたってはそこが強く意識されていたようです。


架空の日本で、とある企業城下都市で発生する怪事件。全て事故と報道されているにも関わらず、人々はそれらを、現場で目撃された髑髏の仮面の怪人「骸骨男」の仕業と噂していた。これを聞きつけたスクープ屋「御子神隼人」が生まれ故郷でもあるその都市に向かった所から物語は始まります。


いや、これは本当に出来のいい作品でした。監督と構成と脚本のチームはよほど頑張ったのでしょう、毎回の脚本家が同じわけではないのに各回の繋がりに全然ぶれがない。着地地点をちゃんと見据えた、構成のしっかりした作りです。そして、1回ごとに「次はどうなるんだ」と先を見たくなる気分にさせてくれます。毎回クライマックスと言うのではなく、「見るほどまだ見えていない謎が気になってくる」作りです。


また、伏線の回収や人物の心理描写も実に丁寧。ダークヒーローものだけに、基本的に出て来た人物には悲劇が待っていますが、丁寧に描写された、個性の確立されたキャラでそれをされるからこそよく感情移入が出来ます。強いて難を言うなら、後半での隼人と●●のいきなりの関係変化にはほんのちょっとだけ違和感が……くらいなもので、落ち度らしい落ち度がまず見つかりません。キャラを実に巧みに演出しては、大胆に使い捨てて行くのです。あくまで完成させたいのは物語、その大枠の中で俳優は自分の役割を性格通りに果たしきり、物語に影響を与えながら退場して行きます。
 

作画のクオリティも全然落ちず、毎回見事なもの。そして、ダークヒーローものでありながら実のところ派手に動き回る戦闘シーンは時間的にほとんどないのですが、そこについてもカットのひとつひとつを大事に豪華に描いて印象を強めることで見事にクリアしていて、画面演出についても見事な手腕がうかがわれます。 さらに


おまけに、石ノ森ファンへのサービスまでも豊富で、サイボーグ009を知っている人は所々でにやりと出来ることでしょう。こっそりブラックゴーストの名前出て来るし。


暗いお話が苦手な人やハッピーエンドでないと満足できない人以外には、全力でお薦めできる作品です。メインキャラは魅力的で、ストーリーは暗い中にも美しさと熱さがあり牽引力ばつぐん、ストーリー構成にも無理が見当たらず、声優もキャライメージぴったり、ラストも暗くはあってもすっきりまとまった納得の行くもの、とかなり手放しで褒められる作品だと私は思います。まずはDVDの1本目を見てみて下さい、1巻は全1話しか入っていませんが、それでもきっと2巻目が気になり、続きを見たくてたまらなくなることでしょう。
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さて、お客様がどれだけいるかは判りませんが、まずは新年あけましておめでとうございます。こんな暇つぶしを読んでくださる方々、今年もどうぞよろしくお願いします。

年明けの一発目は、同人サークル「ふろーずんおーぶ」さん作のSTG、ディアドラエンプティのレビュー。夏から半分積みゲーになってたのを、モニターを買い換えたのを期に一気攻略中です。


まずはグラフィック。このゲーム、普通にファンタジーが好きな人にはたまらない。少女が竜を駆って、雲霞のごとき魔物の群れの真っ只中を輝く翼で駆け抜けるんですから。光の翼って今じゃ厨二病の代名詞にも使われそうな勢いですが、そもそも子供の憧れるファンタジーの王道の一つです。傍から見ているだけで、年甲斐もなくわくわくしてしまいます。

システム的な説明をしますと、このゲーム、ターボダッシュ時に竜の翼が光をまとって攻撃判定が発生します。
敵を倒して得られるコインをステージごとのインターミッションで支払うことで「ショット・スピード・オプション・ターボ・ボム残数・バリア強度リセット」の6つの強化項目を選択出来るんですが、ターボを強化することでどんどん光の翼は大きくなり、当たり判定と攻撃力が強化されて行きます。
スピードをあわせて上げてダッシュ速度そのものも強化してから百体以上の雑魚敵の中に飛び込むと、緑色の光と爆発の乱舞に本気でぞくっと来ます。

蛇足ながら、最初に選べるショットによってこの時の画面の派手さが変わります。爆弾射出系のショットを使っていると、段階を上げるとそこら中で炸裂して無双感五割増し。

惜しむらくは、主人公機がずっと遠景で小さいままのこと。敵と弾幕の数からすると仕方ないのかも知れませんが、一面だけでいい、アップになる面を作ってほしかった。拡大状態で光の翼疾駆をやったらどんなにか……。


次にゲーム難易度ですが、何回かリトライしながら「フルイクイップメント」をオプション設定に出すまでやらないと、慣れない人にはちょっとつらいかな?画面を埋め尽くす弾幕(当たり判定はかなりゆるいですが)を見ることに慣れていない人にも辛い。当たり判定やターボダッシュの無敵時間を把握できて来ると一気に楽になるんですが。
ただ、それだけにフルイク後、即ちショットフル強化+ターボ、スピード5段階+オプション目一杯状態の「俺TUEEEEE!」感は半端じゃありません。


最後に、ストーリー演出がかなり高レベル。
大空から城に入り、暗く灼熱の地下へと降りて行く最後の方の面構成なんか非常に秀逸です。ファンタジーと魔法と竜への夢と言うものをよくわかってらっしゃると思います、製作者さん達。
また、面ごとに背景設定をうかがわせる英語のメッセージがありますが、これが数秒しか表示されないのも悪くない。大抵のプレイヤーは一回内容を読めてしまうと後はゲームのメッセージをあまり気にしなくなるものですが、中途半端にしか読めないと何回も読み返す。結果、より心に深くしみ込むんですね。
エンディングも素晴らしいんですが……これはまあ、ネタバレなのでやめておきましょう。


全体的に見て、支払う価格が安すぎると感じるくらいのスペック&製作者レベルの高さ。体験版をちょっとやって見てちょっとでも気に入ったならお薦めですよ、フルイクの感動はそんなものじゃありませんから。





それにしても本当に、最近同人ゲームのレベルが高くなってきたと感じます。これはものを作りたい人の層が販売の舞台を得てどんどん厚くなり、いい人材の新規参入も増えてきたと言うことで、何とも喜ばしいことです。
最近何度かやる機会があり、だいぶ楽しんでいます。サプリも買っちゃいました。
いや、原作ものとか偏見を持たなければ、素直にかなり優れたシステムだと思います。

まずは判定の際に出すカードにある3つの単語もしくは1つの文章のどれかをロールに組み込むとポイントがもらえる基本システム。
(ロールカードの単語をこの場面に合わせるには……)と即興に頭を回転させるのは楽しいですし、指針があるので初心者にもロールプレイがしやすい。それに、もらえるポイントも強力過ぎず、それでもロールが恥ずかしい人でも差がつき過ぎない。そりゃ、高レベルプレイの時のことまではさすがに知りませんが。

そして、わかりやすくコンパクトにまとめられ、初心者GMにとってかなりありがたいシナリオ作成システム。項目をきちんと作っていけば事故は起きにくい基本システム形式ですし、初GMの人には割とお薦めできます。

あえて難を言うなら、来訪者やゴーストの概念がしっかりし過ぎているので、敵のパターンがどうしても限られるところくらいでしょう。また、数値的作りこみを求めるユーザー層にも弱いかと思われます。

ですが、やっぱり全体的にとてもバランスがよく解りやすいシステムでルールブックも高くありませんし、設定の理解しやすい現代異能ものでもありますので初心者にはお薦めできます。まあ、逆にコアな人にはにやりとできるネタもかなり混ざっていますがそれはここではさておこう。

初心者でない人も、ロールプレイを濃い目に楽しむにはいいんじゃないでしょうか。ただ、サイコロを振らないカード制システムですので、一抹の寂しさを感じる人はいるかも。私みたいに。
これほど(色々な意味で)やらしい主人公見たことない。そんな褒め言葉が思わず飛び出してくるアニメです。

文明がほぼ壊滅状態になった未来、文字通りの東京「砂漠」で人類が懲りもせずに弱肉強食の争いを繰り返す、そんな舞台で、がめつくてスケベで徹底的に生き汚い便利屋の主人公が色々する話なのですが、東京砂漠での人々の生活の描写が実にしっかりしています。正義感なんて最初から最後まで欠片ほども見せなかった主人公がこの世界に「ふさわしい」人間なのだと言うことが実にスムーズに納得できました。

とは言うもののコミカル色も強く、人間という種族のどんなにひどい目に遭わされても「懲りずにまた這い上がる」ところや、逆に怒る気もしなくなる愛嬌じみた間抜けさがあいまって、最終的に全体がただのダークではなく実によく出来たブラックジョークに仕上がっています。また、何と言うか、人間臭さが虚構の虚構感を見事に打ち消しています。

照れず逃げずに主人公の「当たり前」ド外道さかつ人間臭さを描ききったのは見事の一言でした。そして、「そういう考え方をしない」人々をちゃんと出し、そちらを「個人の価値観以上でも以下でもなく、世界に無理矢理後押しさせたり必要以上に迫害させたりしなかった」のもまた見事。
作者の「世界はこうでなきゃ」って主張をキャラに無理に行わせようとして世界観や物語全体をぶち壊してしまう例はアニメに限らず星の数ほどありますが、砂ぼうずに関してはそれは全くありませんでした。回ごとの脚本のぶれも覚えている限りありません。まあ、原作つきアニメですから普通はそうでしょうが。

勧善懲悪が好きな方には絶対お薦め出来ない。でも、詐欺師どうしで今日もまた繰り返される愉快な殴り合いをゲラゲラ笑いながら楽しめる人には是非ともとお薦めしたい、砂ぼうずはそんなアニメです。興味のある人はちょっと情報を調べてみて下さい。作品の完成度自体は素晴らしく高いですから。
今日は映画のレビュー。
薦められて見てみましたが、実に素晴らしい内容でした。




1950年代、イタリアからアメリカに渡ってリストランテを開いた「プリモ」と「セコンド」の兄弟が主人公なのですが、プリモはあまりに職人気質で「人目を引く料理」ではなく「味にこだわった料理」しか作らず、腕前は本国でもおそらく超一流として通用するほどなのに見た目が派手でショー要素にあふれた「偽イタリア料理」に追いやられて苦々しく思わずにいられない(料理でのショーを彼は「料理のレイプ」とまで罵っています)。

セコンドは兄の料理を「天から授かったもの」と心底認めながらもリストランテの経営は傾くばかりで、フィリスと言う相思相愛の恋人を作りながらも生活が安定しないのを苦にして一線を越えられず、ストレスを溜めずにいられない。今日も通りで煙草をふかしながら、向かいにある、同じくイタリアから渡ってきて大成功しているパスカルの店を眺めるばかり。こんな具合で、二人の日常にはどこか疲れたような空気が漂っています。

しかし、登場人物の日常が台詞にしっかりと表され、役者の演技も完璧、カメラワークもきちんとそのシーンの表すものを表現するために考えられたものなので、その空気にはどこか暖かさがあり、すれ違いさえも複雑な感情を感じさせる生に満ちたものでした。





設定の活かし方や登場人物の心情表現を考えたカメラの使い方、視聴者を置いてきぼりにしない丁寧なシーンの組み方など、この作品は本当に「映画としてこうあるべき」教科書のようなものです。内面をいちいち全部言葉と文章にして出さなくとも他人に何かを伝えることは出来る、そんな映像表現の基本中の基本を全くおろそかにしていません。

カメラの使い方や役者の演技は実際の視聴を見るしかないとして、例えば兄弟の関係。

弟からしてみれば、経営の腕はありながら(兄共々パスカルの店に、おそらくは片腕として誘われているくらいですから)兄の完璧主義のせいで割りを食っています。

しかし、弟は兄がこっそり想いを寄せている花屋の女の子のことを知っていて、仕事上がりに「今日は寄って行かないのか?」と突っついたり、リストランテでのパーティーに女の子を招待しなよ、と梃子を入れたり、誘いそこねた兄の代わりに女の子にパーティーのことを伝えたりし、

兄は兄で床屋の店主に「彼女とのことを弟に教えたのはお前か」と恥ずかし半分で絡んだり、女の子をパーティーに誘おうと花屋に入ったはいいものの徹底的な不器用っぷりで話を切り出せずに帰ったり、食材の購入の時にその品質のことでこだわって弟を困らせながらも弟に説得されるとしぶしぶ妥協したりと、

「生きて行くことには不器用だしガンコで料理以外のことに目が行かないことがよくあるけど、ひたすら善良で仕事に誠実で弟のことを愛しお客のことを心底考えている」愛すべき兄と、「真面目でストレスの受け役だけどそんな兄を愛してそのこだわりを可能な限り尊重せずにいられない」愛すべき弟と、両者の間に感情が通い合っているのが行動としてしっかり表現されているのです。





それに加えて、周囲の登場人物もただの台本のショーアップ役として登場するのではなく、リアリティのある人間として描かれていて感情の現実性を非常に強めています。例えば兄弟のリストランテを見下ろす、プリモから見れば「料理の虐殺場」とでも言うべき店の主人であるパスカルですが、いかにもな金持ちの悪役ではありません。

彼は彼なりに移民としてアメリカで成功する術を学んだだけであり、同じイタリア人として、また羨むほどの才能の持ち主として(ラスト近辺では、彼が兄弟の料理そのものには敬意を払い、悲しみさえ感じているのがよくわかります)兄弟を何くれとなく気にかけてくれます。普段のノリは軽くとも、発言の内容は苦労人かつ兄弟の同胞としてのそれなのです。「商売人」である以上商売度外視でリストランテを助けることはしませんが、それでも二人を抱えている借金共々自分の下に抱えようと何度も誘いをかけています。
(実際、金持ちならば「本当に味のわかりそうな」上客を集めた、材料費や手間や助手の確保に頭を悩ませることなどない店に兄弟を支配人として置くことで自分に儲けを出しつつ才能を保護することは出来るのですから)





これらの丁寧な土台の上に語られる、「作中ではたった一日」のあっけないほどスケールの小さい物語。109分も使ってたった一日を描いているのにちっとも中だるみはせず、気がつけば観終わってしまっていました。つくづく、カメラワークや俳優の動作と表情による描写の力と言うものは絶大と感じます。





wikiにも項目のないややマイナーであろう作品ですが、今まで観てきた中でも屈指のお薦めです。映画や舞台が心底好きな人ならば、探し出して観る価値は十分過ぎるほどあると断言します。


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